学習レベル:高校生 難易度:★★☆☆☆
平均や分散などを一般化したものがモーメント(積率)です。モーメントには[原点まわりのモーメント]と[平均まわりのモーメント]などがあります。モーメントを求めるのは容易ではありませんが、モーメントが持つ情報はかなり大きいです。この記事では、モーメントの定義について扱っています。
モーメント(積率)の定義
・モーメント
確率変数\(X\)の\(k\)次のモーメント(原点まわりのモーメント)を\(\mu^{\prime}_{k}\)で表し次の式で定義されます。$$\mu^{\prime}_{k} = \mathrm{E}\left[ X^{k} \right]$$
・中心モーメント
確率変数\(X\)の\(k\)次の中心モーメント(平均まわりのモーメント)を\(\mu_{k}\)で表し次の式で定義されます。$$\mu_{k} = \mathrm{E}\left[ (X-\mathrm{E}[X])^{k} \right]$$
・任意の点まわりのモーメント
モーメントは原点、中心だけでなく任意の点のまわりでもモーメントを定義できます。任意の点\(a\)のまわりの\(k\)次のモーメントを\(\mu^{\prime}_{k}(a) \)で表し、次の式で定義されます。$$\mu_{k}^{\prime}(a) = \mathrm{E}\left[ (X-a)^{k} \right]$$
・絶対モーメント
確率変数\(X\)の\(a\)のまわりの\(k\)次の絶対モーメントを\(\upsilon_{k}^{\prime}(a)\)で表し次の式で定義されます。$$\upsilon_{k}^{\prime}(a) = \mathrm{E}\left[ \left|X-a\right|^{k} \right]$$
・階乗モーメント
確率変数\(X\)の\(k\)次の階乗モーメントを\(\mu_{[k]}^{\prime}\)で表し次の式で定義されます。$$\mu_{[k]}^{\prime} = \mathrm{E}\left[ X(X-1)(X-2)\cdots(X-k+1) \right]$$
モーメントにはさまざまな種類がありますが、
特に「モーメント」「中心モーメント」が重要です。
モーメント、中心モーメントの定義から次のことがわかります。
- \(1\)次のモーメント\(\mu_{1}^{\prime}\)は期待値を表します。
- \(2\)次の中心モーメント\(\mu_{2}\)は分散を表します。
これらに加えて、\(3\)次の中心モーメントを用いた歪度、\(4\)次のモーメントを用いた尖度と呼ばれる指標があります。
ここまで見てきて、いちいち1次、2次、3次...のモーメントをそれぞれ求めていくことは面倒です。そこで、\(k\)次のモーメントを導くため母関数というものがあります。モーメントを使いこなすためには必須の知識となりますので、是非合わせてお読みください。
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