分散

条件付き分散【定義から徹底解説!】

学習レベル:大学生 難易度:★☆☆☆☆

確率変数の組\((X,\ Y)\)が得られたときを考えます。このとき、確率変数\(Y\)が与えられている下で、確率変数\(X\)の分散を考えます。この分散を条件付き分散と呼びます。条件付き分散を理解するには、条件付き確率の理解と条件付き期待値の理解が必須なので復習しておくことをオススメします。

※ 条件付き確率については<条件付き確率の記事>を参照してください。

※ 条件付き期待値については<条件付き期待値の記事>を参照してください。

条件付き分散の定義

条件付き分散(conditional variance)
確率変数の組\((X,\ Y)\)が得られたとき、確率変数\(Y\)が与えられている下で、確率変数\(X\)の分散を、条件付き分散と呼び\(\mathrm{Var}[X|Y]\)で表し以下のように定義されます。\[ \mathrm{Var}[X|Y] = \left\{
\begin{align} &\sum_{i}(x_{i}-\mathrm{E}[X|Y])^{2}f(x_{i}|y)\ \ \ (離散型)\\ &\int_{-\infty}^{\infty}(x-\mathrm{E}[X|Y])^{2}f(x|y)dx\ \ \ (連続型) \end{align}
\right. \]ここで、\(f(x_{i}|y)\)は\(Y\)を与えた下での\(X\)の確率関数を表し、\(f(x|y)\)は\(Y\)を与えた下での\(X\)の確率密度関数を表しています。

 

条件付き分散が意味することは、普通の分散と全く同じです。

条件付き分散は以下の式で定義されることがありますが、上の定義と同じなのでどちらで覚えても問題ありません。$$\mathrm{Var}[X|Y]=\mathrm{E}[X^{2}|Y]-\mathrm{E}[X|Y]^{2}$$

条件付き分散の性質

条件付き分散の性質
確率変数の組\((X,\ Y)\)が得られたとき、確率変数\(X\)の分散は次のように表すことができます。$$\mathrm{Var}[X] = \mathrm{E}\left[ \mathrm{Var}\left[ X|Y \right] \right]+\mathrm{Var}\left[ \mathrm{E}\left[ X|Y \right] \right]$$

 

この性質が成り立つかどうか下に証明を与えています。

■証明

右辺を変形していきます。まず、条件付き分散の定義から

\begin{align}
\mathrm{E}\left[ \mathrm{Var}\left[ X|Y \right] \right] &= \mathrm{E}\left[ \mathrm{E}[X^{2}|Y]-\mathrm{E}[X|Y]^{2} \right] \\
&= \mathrm{E}[X^{2}]-\mathrm{E}\left[ \mathrm{E}[X|Y]^{2} \right]
\end{align}

が成り立ちます。さらに、分散の定義から
\begin{align}
\mathrm{Var}\left[ \mathrm{E}\left[ X|Y \right] \right] &= \mathrm{E}\left[ \mathrm{E}\left[ X|Y \right]^{2} \right]-\mathrm{E}\left[ \mathrm{E}\left[ X|Y \right] \right]^{2} \\
&=\mathrm{E}\left[ \mathrm{E}\left[ X|Y \right]^{2} \right]-\mathrm{E}\left[ X \right]^{2}
\end{align}

が成り立ちます。この2式を用いると求めたい式が出てきます。

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