学習レベル:高校生 難易度:★☆☆☆☆
確率を定義するにあたって、事象を理解する必要があります。前回の記事で、事象というものが、どのようなものか定義しました。今回は事象同士の演算について紹介します(集合論と全く同じことなので、集合論が完璧な方は別に読まなくても大丈夫です)。
※ 事象の定義は<確率の用語の記事>をご覧ください。
今回も、分かりやすいように具体例ではサイコロで考えていきます。
和事象
複数の事象\(E_{1},E_{2},\cdots,E_{n}\)が得られたときを考えます。このとき和事象を次のように定義されます。
具体的に事象\(E_{1}=\{1,2\},E_{2}=\{2,4\}\)が得られたときを考えます。このとき和事象は$$E_{1}\cup E_{2}=\{1,2,4\}$$となります。
本当に和事象になっているか事象\(\{1,2,4\}\)について見てみましょう。根元事象は\(1\)と\(2\)と\(4\)となっています。この根元事象が事象\(E_{1}\)か\(E_{2}\)のどちらかに含まれていると良いことになります。実際確認してみると、$$1\in E_{1},\ 2\in E_{1},\ 4\in E_{2}$$となっているので、事象\(\{1,2,4\}\)は\(E_{1}\)と\(E_{2}\)の和事象になっていることが確認できます。
積事象
複数の事象\(E_{1},E_{2},\cdots,E_{n}\)が得られたときを考えます。このとき積事象を次のように定義されます。
具体的に事象\(E_{1}=\{1,2\},E_{2}=\{2,4\}\)が得られたときを考えます。このとき積事象は$$E_{1}\cap E_{2}=\{2\}$$となります。
本当に積事象になっているか事象\(\{2\}\)について見てみましょう。根元事象は\(2\)となっています。この根元事象が事象\(E_{1}\)と\(E_{2}\)のどちらにも含まれていると良いことになります。実際確認してみると、$$2\in E_{1}かつ2\in E_{2}$$となっているので、事象\(\{2\}\)は\(E_{1}\)と\(E_{2}\)の積事象になっていることが確認できます。
余事象
具体的にサイコロの事象\(E=\{1,3\}\)が得られたときを考えます。このとき余事象は$$E^{c}=\{2,4,5,6\}$$となります。
本当に余事象になっているか確認してみます。まず全事象は\(\Omega=\{1,2,3,4,5,6\}\)になっています。事象\{2,4,5,6\}について見てみると、どの元も全事象に含まれていることがわかり、事象\(E\)には含まれていないことがわかります。よって、事象\(\{2,4,5,6\}\)は事象\(E\)の余事象になっていることがわかります。
排反
複数の事象\(E_{1},E_{2},\cdots,E_{n}\)が得られたときを考えます。このとき\(E_{1},E_{2},\cdots,E_{n}\)が互いに排反であることを次のように定義します。
具体的に事象\(E_{1}=\{1\},E_{2}=\{2,4\}\)が得られたときを考えます。このとき\(E_{1}\)と\(E_{2}\)はお互いに排反になっています。
排反になっているか確認してみます。\(E_{1}\)と\(E_{2}\)に積事象をとってみると$$E_{1}\cap E_{2}=\phi$$となることがわかるので、\(E_{1}\)と\(E_{2}\)はお互いに排反になることがわかります。
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