学習レベル:高校生 難易度:★☆☆☆☆
統計学を勉強していく上で、確率変数という言葉を正しく理解しておく必要があります。実は確率変数について分かっていない方は意外と多いです。この記事に出会えた方は自分の統計学の知識を他の方と差をつけるチャンスになりますので、是非とも最後までご覧ください。
確率変数とは
データの推定や予測を扱うにあたって確率変数はとっても重要なワードになります。この記事で確率変数について正確に理解できるようにしておきましょう!
サイコロを例に考えてみましょう!
サイコロに関する確率変数\(X\)は、サイコロの目に当たります。サイコロを振るまでサイコロの目は何が出るかわかりませんが、サイコロを振って1の目が出たとき、確率変数は\(X=1\)となりこのときの確率は\(1/6\)となります。
確率変数\(X\)の表記について
よく統計学の本を読んでいると確率変数\(X\)を用いて、確率を$$\mathrm{P}(X=x)$$と表していることが多いと思います。しかし、ここで賢い人は疑問に思います。<確率の定義の記事>をご覧ください。確率\(\mathrm{P}(\ast)\)の\(\ast\)の部分には事象が入りますよね?確率変数は事象ではないので、ここで矛盾が生じるわけです。
実は\(\mathrm{P}(X=x)\)は確率変数\(X\)を用いた事象の表記を省略した形になっています。もともとはどのような表記だったのかこの節では紹介していきます。
この表記もサイコロを例に紹介していきます。
サイコロを振ったときに、1の目がでる事象は$$\{X=1|X=1,2,3,4,5,6\}$$と表されるはずです(事象は集合記号で表されます)。よってサイコロで1の目が出る確率\(\mathrm{P}(X=1)\)は正確に記述すると\(\mathrm{P}(\{X=1|X=1,2,3,4,5,6\})\)となります。しかし、この記述はかなり面倒ですよね?
そこで、\(\mathrm{P}(X=x)\)という表記は、実は\(\mathrm{P}(\{X=x|X=x_{1},\cdots,x_{n}\})\)という表記を省略しようとなりました。不等号表記も同様に省略されています。
$$\mathrm{P}(X>x)\ \ \ \Rightarrow\ \ \ \mathrm{P}(\{X|X>x,\ X=x_{1},\cdots,x_{n}\})$$
意外と、この省略を説明している本は少ないです。
数学を真面目に学習している方は疑問に思うところだと思ったのでこの記事で紹介しました。
確率変数のまとめ
確率変数とは何の値をとるかまだ決まってはいないが、確率変数に値をいれると、ある確率を与えることができる変数のことを指します。確率変数を用いて確率を表記することが多いですが、確率変数を用いた事象表記が省略されているので、混乱が多いところでもあります。